SS)ルピカ
さくにゃんの曲を元に書いてみましたw
森が泣いている……。
私は、森に足を踏み入れた途端に不思議な感覚にとらわれた。
木々が鬱蒼と生い茂り、木漏れ日がわずかに辺りを照らしている。
森のあちこちから鳥達の鳴き声が響きわたり、負けじと蝉達が合唱する。
一見、どこにでもある風景。
奥へ進むと、ふと誰かに呼ばれた気がして私は立ち止まる。
――助けて――
「誰か居るの?」
問いかけても返事は返ってこない。
私は何かに誘われる様に茂みの中へ入っていった。
………
……
…
茂みを抜けると少し拓けた空間に出る。
――お願い、助けて…――
また、声が聞こえる。
辺りを見渡すと木の陰に小さな花が咲いていた。
多分、日が当たらないせいだろう……その花は今にも散ってしまいそうなほどか細く、うなだれていた。
私は根っこを傷つけない様に、丁寧に地面を掘り、日当たりの良い場所へ移し替えた。
――ありがとう、ルピカ――
「声の主はあなただったの?」
――助けてくれてありがとう、おかげで元気が出てきたよ。――
「そう、なら良かった。ところでルピカって何?」
――ルピカは妖精さん……君の事だよ。――
「私が妖精?」
――そうだよ。僕たちを守ってくれる優しい妖精さん。――
「そんなことないよ。」
――君は気付いてないだけさ。証拠に僕の声が聞こえるだろ?――
「あっ……。」
――君の中には妖精さんがいて、いつも僕たちを守ってくれてる。この間も、傷ついた小鳥を手当てしてくれたじゃない――
「それはただの偶然で……」
――……きっといつか分かる日が来るよ。――
「う〜ん……私、もう行くね。」
――ありがとうルピカ――
再び私は森の奥へ入って行った。。。<続く?>
アルバムのルピカより、ライブのルピカベースですね(^_^;)